第153章 もうバイバイ⦅???⦆
なな との出会いは俺の中の暗闇に射す一筋の光だったー…。
できるなら、キミの隣にずっと居たいと願ってしまう。
不器用な言葉で伝えた想い。
キミは恥ずかしそうに頷いた。
2人きりなんて馴れないから、いつまで経っても目を合わせる事ができず、手を繋いだ1年目。
手を繋ぎ、なな の隣を同じ速度で歩く幸せ。
自分よりも少しだけ低い体温に小さな手。
隣で笑うその表情(かお)も。
全て大好きだった。アイシテル。
いつの間にか心の距離だけでは満足できず重ねた体。
なな が自分のものになった満足感と安心感。
なな が任務で怪我をする度、俺は心配した。
キミは はじめのうちは『大丈夫』と言っていたが次第に『過保護だ』『任務に私情を持ち込まないで欲しい』と言い、すれ違い、泣かせる事が増えた。
なな の泣き顔を見るたび痛む心。
" なぜ俺の気持ちを理解してくれないんだ "
そう思いながら なな が泣く度 俺は その場から逃げ出した。
キミを1人にして…。
すれ違い、仲直りする度 深まる絆。
そう思っていた。
でも それは独りよがりだった。
" なな の気持ちにもっと寄り添っていれば "
" あの時こうしていれば "
思うほど痛む心。
キミの声 ー
笑顔、泣き顔、怒った顔、いろんな表情 ー
重ねた体の温もり ー
いつしか俺はキミの背中ばかり抱き締めた。
【繋ぎ止めたい】と願いながら。
抱き締めた俺の腕をキミは そっと手を添えるだけ。
その度 痛む心に気づかないフリをした。