第140章 太陽と月⦅宿儺⦆
太陽が昇る頃、月は役目を終えたかのように沈みだす。
「お前は まるで太陽のようだな」
宿儺は隣に座る なな の頭を撫でた。
『太陽、ですか?』
首を傾げる なな の髪を撫で、宿儺は続けた。
「俺は暗闇だ。今まではそれで良いと思っていた。
だが お前を隣に置くことで心が落ち着き暖かく感じるのだ。
永久(とわ)に離れるなよ」
そう言って口角を上げる宿儺の表情に なな は『もちろんです』と微笑んだ。
『宿儺さまが離れろ言ったって離れてあげませんよ』
「言うと思うか?」
『ふふ、いいえ』
なな は馴れたように宿儺の大きな腕に体を寄せた。
宿儺もまた馴れたように空いている片手で なな の体を抱き寄せた。
『私は太陽では無く、宿儺さまと一緒に闇に堕ちたいです』
「まったく、なな は従順だな」
***おわり***