第119章 お昼寝⦅虎杖悠仁⦆
3月も目前の冬の晴れ間。
ぽかぽか と空を照らす太陽が心地よい。
ベッドでゴロンと横になりながら漫画本を読んでいた虎杖は いつの間にか眠ってしまった。
『悠仁ー?』
慣れたように虎杖の部屋に上がってきたのは なな 。
本を借りに来た なな はベッドで寝息をたてている 虎杖を見て、静かに近づいた。
⦅ …可愛い♪ ⦆
寝ている虎杖の頬をツンツン、と指でかまうと、虎杖は「んぁ?」と目を覚ました。
「なな …」
寝ぼけているのだろう、虎杖はぽけ~っとしたまま なな を見ると、ひょい と なな を持ち上げて自分のベッドに入れ、抱き枕のように優しく抱き締めた。
展開についていけず黙ったまま虎杖に抱き締められている なな 。
「ん~…
なな ………………
…………………………好き…」
寝言のように小さく、ポツリポツリと そう言った。
スー…、スー…、とリズムカルな寝息に、なな は いつの間にか緊張も解け、虎杖につられて眠ってしまった。
コンコン、と控えめなノックの音がしたかと思うと、「虎杖、開けるわよ!」と釘崎と伏黒が入ってきた。
「虎杖?」
伏黒はベッドで横になっている虎杖を見つけ、声をかけようとすると なな も見えた。
「釘崎」
伏黒は釘崎を呼び寄せると、釘崎は腕を組ながら眉尻を下げ ため息をついた。
「ったく。約束の時間になっても なな が来ないから心配してみれば」
虎杖の腕の中で気持ち良さそうに眠っている なな を見て呟いた。