第89章 音楽⦅宿儺⦆
音楽を聴いていた なな に、虎杖の頬から宿儺が現れた。
宿「なな は耳に何を入れているんだ?」
虎「イヤホンだよ」
宿「なんだソレは」
虎杖は、なな の肩を叩いて話しかけた。
虎「なな 、なに聴いてるの?
宿儺がイヤホンに興味あるって」
『宿儺も聴いてみる?』
片耳のイヤホンを外し、虎杖に渡そうとするが戸惑った。
『悠仁がイヤホン付けると宿儺にも聴こえるのかな?』
虎「たぶん聴こえると思うけど、ちょっとだけなら宿儺と代わるから、宿儺に教えてやって」
虎杖はそう言うと宿儺に変わった。
宿「こんな小さな機械で音が聴けるのか?」
不思議そうにイヤホンをいろんな角度から眺める宿儺に、なな は『耳に入れると音楽が聴こえるよ』と教えた。
なな の指示通り、耳にイヤホンを入れると宿儺は驚いた表情をした。
宿「この機械から音が聴こえるのも驚いたが、今の唄は昔と全く違うのだな」
『昔って民謡か童謡しかなかったんじゃ……』
苦笑しながら呟き、なな は最近流行っている曲を聴かせた。
『今は こういう英語やアップテンポな曲ばっかりなんだよ』
宿「えいご? あっぷ、てんぽ?」
初めて聞く言葉を繰り返す宿儺。
『もし、また聴きたくなったら悠仁に言えば聴かせてあげるよ』
にこりと笑うなな に、宿儺は「うむ」と頷いた。
後日。
虎杖の頬から宿儺がまた現れた。
宿「小僧代われ。今日も なな の音楽を聴くぞ」