第56章 イルミネーション⦅虎杖悠仁⦆
夕陽が沈むのが早くなり、闇夜の時間が増える秋。
夜長を彩るように、イルミネーションが輝く。
虎「寒くないか?」
なな の顔を覗き込み虎杖は聞いた。
『大丈夫♪』
虎「なな は冷え性だろ?」
ん、と はにかみながら虎杖は なな に自分の手を差し出した。
虎「手、繋ご♪」
虎杖の大きな手を繋ぎ、なな はつられて笑った。
呪術師である以上、任務は常に死と隣り合わせ。
虎杖の場合は、それに加えて宿儺を受肉した、と言うだけで死刑対象となっている。
2人で こうしてデートを楽しむ。そんな普通の高校生LIFEが2人にとっては幸せなのだ。
『綺麗だね、悠仁』
イルミネーションを見回す、なな に、虎杖は「なな ?」と声をかけた。
『ん?』
虎杖の声がした方に振り向くと
ちゅ…
頬にキスされた。
『え? え? えぇっ?!///』
顔を真っ赤にする なな に、虎杖は ニッと笑った。
虎「かわいい♪ 誰も見てないよ♪」
『いやいやイヤ! そんなの分かんないじゃん///』
虎「……ダメだった?」
なな の態度に、虎杖は少し しゅん とした。
その姿はイタズラをして怒られた犬のようだ。
『ダメじゃないよ! 急だったから恥ずかしかっただけ//』
虎杖と繋いでいる手を ぎゅっ も強く握った。
恥ずかしそうに顔を赤くしながら、虎杖を見て自分の気持ちを伝える なな 。
虎「来年も来ような♪」
『うん!』
***おわり***