第76章 姫の好奇心(R-18)
「やっ、あ、謙信様。どうし、て?」
謙信「後ろから抱いてもいいか?」
潤んだ瞳が気だるげに動いた。
(愛らしい姿を見ていたら抑えがきかなくなる)
抱きしめて、胸にすがり、お前の奥で種を吐き出してしまう。
毒された身体で子を孕めばどうなるかわからないならば、これ以上ナカで達するのは避けたい。
(舞に真実を話さなかった責任は俺が持つ)
気を失うほどの快楽を与え、それでも孕まないよう配慮したい。
だが舞は小さく首を振った。
「い、や…」
謙信「っ」
察しているのかと様子を伺ったがそうではなかった。
「う、えになる」
謙信「何度も達し、腰に力が入らないだろう?」
触れ合うだけの口づけをする。
謙信「次の機会で良い」
(頼む、騙されてくれ)
今は上に乗られると都合が悪い。
あの体位は間違えばナカに吐き出してしまう。
甘い誘いを断らなければいけない歯がゆさに奥歯を噛んだ。
(その申し出、あとで受けてやる)
「は、い……でも、後ろは嫌です。今日はずっと謙信様を見つめていたいです。
いつも…見られないから」
頬を染め、初々しく照れる様に『駄目だ』とは言えなかった。
(観念するしかないようだな)
己の欲望と、とことん戦うしかないようだ。
謙信「舞…お前が望む通りに…」
「あ……」
引き抜いた男根を蜜口にあて、両足を抱え上げた。
あたっている部分が熱く、ひくついている。
謙信「共に気持ち良くなろう……」
「ん、ん」
深い口づけを贈り、腰を沈めた。
「あ、ん……!」
甘い香りがつきまとう。鼻孔をくすぐり、肺を満たし、血に溶け込んでいく。
はぁ、と吐く息が甘い気がする。
飲んだ者にしか効かないはずの催淫効果が確かに己の中にもある。
(舞を守るために……薬になど踊らされん)
これ以上冒されないよう、惑わされそうになっている脳に暗示という戒めを施す。
このまま孕めば孕んでいる最中も、生まれてからも舞はずっと気に病むはず。
何でもないトラブルにも『あの時薬を口にしたから』と責めるはず。
(そんな憂いを抱かせぬためにも、俺が薬に負けるわけにはいかない)
ギュッと締まっている道をゆっくり割り開いていく。