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[サンプル]男娼【竈門炭治郎】

第1章 サンプル



色とりどりの行燈の灯りがつけられ、花街は賑わって行く。
まるで揺蕩うように兄様の燻る煙草の煙に顔を顰めそうになるものの長男である俺はそれをグッと堪えた。
女たちの客引きの声が外から聞こえ、牢の様な漆塗りの柵の前には着飾られた女達がこちらを見ていた。
まるで品定めするかのような、蔑むような視線に思わず兄様の陰へと姿を隠す。
「炭治郎、早く出ろ」
その言葉が、兄様の目が恐ろしく足早に楼の中を去った。





女は子を産み 又その子も親となる。




廊下を足早に歩くと、女達の笑い声となじるような声が耳に入ってきた。
俺でさえこんなに耳に障るのに、同期の彼は大丈夫だろうかと脳裏によぎる。
据えたような臭いに吐き気を覚えると、堪らず廊下でえづき、女衆に咎められた。
「また炭治郎が吐いてるよ。禰󠄀豆子、掃除してやんな」
その言葉に禰󠄀豆子が心配そうに俺に近寄る。
背中をさすって貰えると幾分かマシになった気がして、妹に小さく感謝を伝えた。


「ギャーーーーっ」


何処かの部屋から男郎の悲鳴が聞こえる。
それに思わず顔を上げると、今度は女の高笑いが聞こえた。
「ありゃあ藤吉郎だねぇ。かわいそうに、あの馬女また来てるみたいだ」
その言葉に身を震わせると、禰󠄀豆子は俺を気遣うように眉を下げた。
「……ごめん、大丈夫だ」
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