第51章 コイワズライ
問題。
2つの六面体サイコロを投げて、3と5が出る確率はいくつだろうか。
答えは簡単。
3が出る確率は6分の1、5が出る確率も同様だから、それらの積である36分の1が答えとなる。
では、10個の二十面体サイコロを投げて、全てが6を示す確率はどうだろうか。
これも同様にすれば、20分の1を10回かければいいので、答えは2×10の11乗分の1。
つまり、そんなことが起きる可能性は0.0000000005%。
とんでもない確率であることが伝わるだろうか。
今まで二十面体のサイコロが使われたのは5回。
その内の2回は10個のサイコロを、私以外の人間が同時に振り、どちらも全ての目が6であった。
その振った人物が強運だった?
冗談がキツイ。
そんなことでこんな奇跡が2回も起きてたまるか。
神は常に私達を地獄へ導こうと必死。
私の術式は同様に確からしいサイコロを使わないといけないけれど、形が整っていても結果は神が弄る。
つまるところ、四面体、六面体、八面体…と正な面が増えていけばいくほど、またサイコロの数が増えれば増えるほど、大きな数が出やすくなる。
私が持っているサイコロの中で、二十面体10個という最強の駒は、神のわがままが顕著に現れるのだ。
「ねーーーえーーーー!千夏ちゃん!!!」
サイコロを呑気に拾う先輩に、呪霊が癇癪をあげる。
「…───ちゃん。もう止めよ?」
「そうしたらまた千夏ちゃんは…」
「その人も解放してあげて」
「いy」
母音が聞こえるより先に、呪霊の片腕が宙を舞う。
「──ちゃん。私、怒ってるよ」
(うわぁお。ガチギレじゃん)
先輩のキレた姿を見るのは初めてではないけれど、今回のは度を超えている。
「...千夏、ちゃん?」
「私の大切な人達を傷つけないでって言ったよね?」
「でもそれは」
「1人、2人.....ウルハなんて死にかけた」
「…ゴメンナサイ」
はっ……呪霊が謝ってやがる。
心のこもっていない単調な声で。