第14章 前夜
インターホンを鳴らすと、すぐに扉が空いた。
オレを見るなり。部屋の主が驚いた様子で目を丸くした。
「万次郎!びっくりした、どうしたの」
「家、上がっていいか」
「うん。どうそ」
そういって柔らかく笑って部屋に招いてくれた。
ワンルームの小さな部屋。ここでこいつは一人で暮らしている。
「万次郎、お菓子食べる?ジュースもあるよ」
「食う」
「ふふ、万次郎の好きなの色々用意しておいたんだ。なんとなく、来る気がしてたから。本当に来て、ちょっとびっくりしたけどね」
丁寧に机に菓子類をおいて、オレの横に腰を下ろした。
「で、どうしたの?決戦前夜に大将さんが何の用?」
「お前、戦えんの?」
「え?」
「友達に手上げらんねえだろ」
「……」
それがこいつの唯一の『弱さ』だ。
いざと言う時に、極悪にも非道にもなれない。
「……できるよ」
「じゃあ今すぐオレを殴ってみろよ」
「!?な、なんでよ…今じゃなくたっていいでしょ…別に…」
「ふうん」
「!?」
オレはその場でを乱暴に押し倒した。
「っいた…!」
「お前、これ抵抗できる?」
「っ…!」
「できねえよな、お前は力だと他の連中に劣る」
「は、離してよ!」
「だから、退かしてみろよ」
「っ…」
「何してんだよ、ほら、早く退かさねぇと」
口をの耳元に寄せる。
「ここで今すぐ犯す」
「っ…!」
頭を上げ、と視線を絡める。
困惑、動揺、羞恥、色んな感情が混ざりあったような顔をしている。
「……あ」
オレの背後に視線をやり、抜けた声を出す。
背後が気になり一瞬気が緩んだ瞬間、世界が反転した。
「ふふ、俺の勝ち。で、俺に何するって?」
馬乗りになりながら、ゆらゆらとした手つきでオレの中心に服の上から触れる。
「ねえ、これ、俺のお尻に挿れたらさ、どうなるかな」
そういって、今度は腰を使って臀でオレのものに触れる。
「…そんな事どこで覚えた」
「さあ」
「オレ意外のやつとシたのか」
「そしたら、どうする?」
ニヤリと口の端をあげて笑うを見て、オレの中で何かが切れた。
再度力任せにを押し倒し、服を剥ぎ取る。
もう優しくなどしてやれない。