第4章 チート
個性把握テスト、ここはアニメで観た。そして私の知っている通り最下位は除籍というトンデモ発言もぶっぱなす相澤先生。
50m走が始まり次々生徒が走っていく中、私はやりたいことがあり先生に再度確認をとる。
「先生、これ本当に個性使えばなんでもありなんですよね」
「ああ。どこまで出来るか把握するためのテストでもあるからな」
「分かりました」
人数の関係で私一人で走ることになったのはいいのだが、自然と視線が集まる。
この世界に干渉するといっても、主要キャラになりうることはしたくないんだけどな……
かといって、手を抜けばこの容赦ない先生の目は騙せないのでそれこそ除籍にされたらたまったもんじゃない。一発全力かましてみようじゃないか。
「位置について」
スタートラインに立ち、手を前にかざし魔法陣を壁のように設置する。
「えっ何アレ!」
「魔法陣?!」
ザワザワとする周りの生徒。
「用意」
ピッ
短く笛がなると同時に、魔法陣へ向かって足を踏み込めば、私の右足はそのままゴールへと着地し、体も少しばかり遅れてゴールにやって来る。
「タイム、0秒51」
まぁこんなものか、とみんなの元へ向かえば合流した途端ワッと言い寄られた。
「今の何?!瞬間移動?!」
「瞬間移動って程でもなさそうだったが……」
「謎すぎるー!ていうかこんな凄い個性持ってる子入試の時いた?!」
「どんな個性なのかしら」
や、やめて眩しい…そんなキラキラした目で見ないで……
こうなるのは分かってた、分かってたけど……
先生助けて、と目で訴えれば、お前ら除籍にされたいのか、というドスの効いた鶴の一声のおかげで皆はサササーと離れて次の種目へと向かった。