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Smile Bouquet

第8章 大切で残酷な暖かい過去




レティシアが目を覚ましてから2人は手袋を買いに街へ出掛けた。


ユリス
「レティシア…ほら、これ。プレゼント」

レティシア
「…帽子?」

ユリス
「嗚呼。お前は誰かに顔を見られているかもしれない。…だから、外に出る時はこれを被るんだ。良いな?」

レティシア
「分かった。…ありがとう」


レティシアはパーティーに参加しなくなる前までは外に出ており、数は多くないがテレビに顔は映っていた筈だとユリスは思い、家を出てすぐ小さな帽子屋に入り唾広の白い帽子をレティシアの小さい頭に乗せてやる

頭に乗せられた帽子の唾をレティシアは両手で持つと表情には出なかったが、瞳がどこか嬉しそうだった



ユリス
「よし、行くか」

レティシア
「…うん。ジル、おいで」

ジルヴァ
「にゃ…!」


石畳からタイルに変わった道を止まり、ユリスは年季の入った店の扉を開いて入る。
レティシアは初めて入る店に緊張しているのか、繋いでいた手に僅かに力がこもると、ユリスはその手をしっかり握り返してやる


店主
「いらっしゃいませ。…おや、ロベール様」

ユリス
「こんにちは。ちょっと頼みたい物があって」


綺麗なスーツを纏った紳士的な雰囲気の老年男性とユリスは知り合いの様で。
店主がレティシアに気が付くとゆっくりしゃがんで少女と視線を合わせる


店主
「こんにちは」

レティシア
「こ、んにちは…」

店主
「それで、頼みたい物というのは?」

ユリス
「こいつの手袋だ。…この証を隠したくてな」

店主
「畏まりました。では、お嬢さん…手を貸していただけますか?」

ユリス
「ほら」

レティシア
「…うん」


店主はレティシアの掌や指のサイズを丁寧に測った。


店主
「次に素材と色を選んで頂けますか?」

レティシア
「…ユリス」

ユリス
「ん?」

レティシア
「どれが良い…?」

ユリス
「着けるのはお前だぞ。自分が良いのにしろ」

レティシア
「…私」

ユリス
「?」

レティシア
「ユリスが、選んでくれたやつが…良い」


その言葉にユリスは一瞬、目を丸くするもすぐに表情を柔らかくして笑みを見せレティシアに合うものを選んだ。



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