第8章 大切で残酷な暖かい過去
魔法を持って生まれたら地獄。
そんな世界に魔法を持って産まれたユリス·ロベールだったが、両親は魔法を持って生まれた我が子を誇りに思い大事に育てた。
魔法を使わずとも幼い頃から優秀だった我が子を更に誇りに思い、両親の自慢だった。
同級生
「わぁ、流石ユリスくん!凄いね!」
ユリス
「別に凄くないよ」
だが、それとは異なり頑張らなくても何でも出来てしまう為ユリスは幼い年齢に似合わず、とても冷めていた。
そんな彼を虐める者なんて居なかった。
居たとしても─…
同級生1
「うぁ…!」
同級生2
「くそ…っ」
ユリス
「はぁ…もう良い?」
同級生3
「まだ、だ…!」
ユリス
「弱いんだからさ。諦めろよ」
複数、上級生…どれだけでかかっても幼い彼に勝てる者などいなかった。
返り討ちに合うのが道理。挑む方がおかしいと、気が付けば彼を虐めようとする者は1人も居なくなった
子供らしさの欠片も無かったユリスには、周りが出来ない事が何故出来ないのか理解が出来なかったし、何かに対して必死になっているのを見ると、何をそんなに必死になるのか分からなかった
刺激も楽しさもない世界が、彼の目には色褪せて見えていて
気が付けば"適当人間"になっていた。
だがそんなユリスにも唯一、心を許せる友人が1人…
「ユリス!」
ユリス
「エドゥアル」
エドゥアル
「今日のテスト…「聞く必要ある?」
何点だった、そう問おうとした友人のエドゥアル·ボネの言葉を遮ったユリスに彼は苦笑した
エドゥアル
「おいおい…もしかしてがあるかもしれないだろ」
ユリス
「ないよ」
エドゥアル
「言い切ったよ…」
ユリスと幼馴染のエドゥアルも、魔法を使えた。
厳しい親の元に生まれた事によりエドゥアルも優秀だったが、ユリスが大き過ぎてその影に隠れがちであったものの、エドゥアルは全く気にしておらず彼との他愛ない会話を日々楽しんでいる