第25章 突然の別れ…?
女性
「私の家系は少々、魔獣に詳しくての。生きておれば大抵の魔獣に会える。…じゃが、死ぬ迄に目にする事も叶わない魔獣だっておる。それが、お前さんの膝の上におる子じゃ」
全員
「え…?」
女性
「その子は最も高貴な魔獣じゃ。それ故、稀な存在で希少。言ってしまえば魔獣達の頂点に立つ王だ。人に飼われて良い魔獣では無いんじゃ。……そうか、幼い頃に行方知れずになったと聞いておったが…元気だったんじゃな」
嬉しそうに細められる女性を見てからレティシアは腕の中にいるジルヴァへ目をやる
レティシア
「ジル、そんなに凄い魔獣だったのか?」
ジルヴァ
「むぅ?」
知らない、とでも言うようにジルヴァはレティシアを見上げて首を傾げる。
ノア
「人に飼われて良い魔獣じゃない、か…」
ルシアン
「レティシアは飼ってない」
ノア
「わ、分かってますって!」
レティシア
「だが、見る人が見れば…飼ってるように見えるんだろうな。でも、そうだな…そろそろジルの好きな様にさせてやらなくちゃ、いけないのかもしれないな」
リアム
「レティシア?何言ってんだよ…それじゃまるで…」
レティシア
「ジルを…自由にしてやる」
レティシアの判断にルシアン達は分かりやすく驚く。
ジルヴァはレティシアにとって家族で…彼女が辛い時ずっと傍に居てくれた大事な存在。
彼の為ならなんでも出来てしまう程…強い影響と力をくれる存在。
だが、一緒に居たいと思っていたのは自分だけなのかもしれないと…急に不安に襲われた。ジルヴァには幸せでいて欲しい、それがレティシアの1番の願い。
ジルヴァ
「ウゥ…?」
頭を撫でる手は優しいのに、彼女の表情はどこか暗くてジルヴァは不思議そうにレティシアを見詰める。
レティシアは1度ジルヴァを、ぎゅうっと抱き締め…そのまま立ち上がる。
何をするのか、それが理解出来たルシアン達は家を出るレティシアを追い掛ける