第20章 彼女が知らない彼の真実
3人がたてた仮説は、彼女が両親に何かされているのでは…というものだった。
だから、シュヴァリエ家が婚約を申し出て花嫁修業と称してシュヴァリエの家で保護しようと考えているのだ。
勿論フェリックスも賛成だ。
行くのが嫌になりそうだったパーティーに行けたのもレティシアの笑顔があったから。
そして、気が付けば想う様になっていた彼女を助けたいという気持ちが強かった
イリーネ
「そうと決まればお手紙を書かなくちゃね」
ぱんっと両手を合わせてイリーネが声を上げると2人は頷いた。
イリーネが婚約の申し出る手紙を書いてから数日─…
シュヴァリエ家に1本の電話がかかってきた。使用人から子機を受け取ったエヴァンは機械の向こうで繋がっている人物に声を掛ける
エヴァン
「お待たせしてすみません。エヴァンです」
アリシア
『あぁ、シュヴァリエ公爵…フォンテーヌのアリシアです』
聞こえてきた声にエヴァンは申し出の返事だろうと予想する
アリシア
『婚約の申し出お受け取り致しました。本日はそのお返事をと思いまして』
エヴァン
「そうですか。良い返事が頂けると嬉しいのですが」
返事をしつつも予想していた内容だったそれに笑みながら言葉を紡いでいく。アリシアの声はとても弾んでいる為、断られる事はまず無いだろうと一足先に安堵する。
アリシア
『勿論、フェリックス様のような方が婚約を申し込んで下さるなんてお断りする理由がございません』
エヴァン
「あぁ、それは良かったです。…それで、婚約を機に彼女には我が家に来て頂きたいと考えているのですが…如何でしょう?良ければ数日考えて─…」
アリシア
『まぁ…!是非、宜しくお願い致しますわ』
エヴァンの言葉を遮ってアリシアは嬉しそうに返事をした。
相談も無しに勝手に決めてしまっている様に感じるが、大丈夫か…なんてエヴァンは思ったものの彼等にとっては有り難い即答だった。
エヴァン
「ええ、ではそのように」
それから顔合わせの日程を決めて会話を終えた。
その日の食事の席でエヴァンはイリーネとフェリックスに今日の事を知らせた。イリーネは遮って即答したそれに安堵と同時に悲しみの表情を覗かせる。
フェリックスはどこか舞い上がる様な感覚と…少しの不安を抱きながらその話を聞いた