第4章 一員
その場にどこか一体感のような空気が漂っている中、それを掻き消すようにレティシアが声を上げた
レティシア
「げ!」
ルシアン
「何だ。また何か忘れたのか」
ノア
「姫さんは忘れっぽいっすからねー」
レティシア
「本当に忘れていた…。リアム」
かわされる会話を聞いていたリアムに、レティシアが視線を向けると彼は首を傾げて反応した
レティシア
「ヒガンバナの基地内説明を忘れていた」
ノア
「ありゃりゃ…結構大事なとこ」
ルシアン
「レティシアだからな」
レティシア
「おい、ルシアン。私だからって何だ」
ソフィア
「レティシア様は、お忙しい方ですから…仕方ないかと…」
オリヴィア
「そうよ。お嬢に任せた私達も悪いんじゃないかしら?」
ノア
「確かにそっか」
ぽんぽんと進んでいく会話を眺めてリアムは思った。
リアム
(指揮官ってもっと近付きにくいというか、話しづらい役職なのかと思ってたけど…レティシアはそうじゃねぇんだな)
彼女の人柄がそうさせているのか…なんて考えてふと思ったのは、ついリアムも名前で呼んでいたし敬語なんて既に無くなっていた事を思い出す。
リアム
(レティシアじゃなかったら、きっと追い出されてんだろーな…)
それを想像してリアムは背筋が凍る感覚に自身の身体を抱き締めた
レティシア
「おっし、簡単に説明するからちゃんと聞けよ」
リアム
「あ、おうっ」
レティシア
「ここは地上4階、地下1階になってる。1、2は活動階だ。3、4は居住階な。地下は犯罪者をぶっこむ所。以上!」
リアム
「いや…簡単過ぎね?」
レティシア
「何だ、分からない所でもあるのか」
リアム
「や…ねぇけど」
レティシア
「なら問題ないだろ。…ちなみにリアムの部屋もあるぞ、越してくるか?」
リアム
「特別室の皆は住んでんのか?」
ルシアン
「嗚呼、住んでる」
リアム
「そっか…空いてんなら」
レティシア
「よし、説明終了」
リアム
「適当だな…」
オリヴィア
「さっさと慣れちゃった方が良いわよ?」
くすくすと肩を揺らしながらオリヴィアに告げられた言葉に、リアムはただ…慣れる努力をしようと思うだけだった