第4章 一員
リアム
「いだっ……くっそー!」
リアムが特別室へ異動してきた翌日。
彼は既に任務を行っていた
大型魔獣を目の前にした時リアムの脚は固まり動かなくなってしまった。
だが、共に任務に来ていたレティシアに喝を入れられたおかげで今では何とか動けてはいるものの、大きな前脚に何度も飛ばされ阻まれる
レティシア
「成程…身体能力は良いみたいだな」
リアム
「おい、…っどわ…呑気に、観察してんじゃねーよ!」
少し離れた位置で腕を組みながらただ眺めているだけのレティシアに、リアムが額に汗を滲ませ振り下ろされる前脚をかわしながら苦情をいれる
レティシア
「初めてにしては良くやった方か…仕方ない、手を出すか」
やれやれ、と聞こえてきそうな表情のままレティシアが歩き出す。
すると、彼女の方が強いというのが分かるのかリアムを追い掛けていた大型魔獣は急ブレーキをかけ、今度はレティシアの方へ突進していく
レティシア
「こういうのはな…隙を狙うんだ」
リアム
「はぁ、は…隙なんか、ねぇよ…っ」
ぜぇぜぇと息をしながら告げるリアムへ視線を向ける事なくレティシアは大型魔獣の脚元へ素早く移動すると、地面についた前脚に思い切り蹴りを入れた
すると、大型魔獣はその僅かな痛みに一瞬だけ動きを止め
それを見逃さずレティシアは、蹴りを入れた前脚に注射を打った
レティシア
「な?」
リアム
「なって何だよ、なって…」
漸く落ち着いたリアムは、彼女の言葉に疲れた様に座り込む。
大型魔獣は何事も無かったかのように森の方へと消えて行った
レティシア
「ほら立て、帰るぞ」
リアム
「無理…動きたくねぇ…」
レティシア
「ったく、情けないな」
強い口調もあってか、レティシアの方が逞しく見える。
それもそうだろう、リアムは昨日やって来て今日が初任務なのだからこの光景は別に不思議な事ではなかった