第3章 身をもって
ノア
「お、帰ってた帰ってた」
レティシア
「ん?何だ」
ソファに腰掛け小型魔獣と戯れながら、背中を押しているノアと押されているリアムに目をやりレティシアは問い掛ける
ノア
「リアムくんを皆に紹介して回ってんだ。姫さんも」
レティシア
「は?私はさっき…「違うよ」
言葉を遮られたレティシアは不思議そうに首を傾げてノアを見詰める。
すると、ノアはレティシアの指にじゃれている小型魔獣を指さした
ノア
「彼もうちの立派な仲間っしょ」
レティシア
「流石はノア、分かってるじゃないか」
リアム
「仲間?」
ノア
「この子も良く手伝ってくれんだ、俺等の事」
リアム
「へぇ…」
こんなに小さいのに偉いな、なんて思いながらしゃがんで小型魔獣を見詰める。
するとその小型魔獣は指にじゃれるのを止め、ちょこんっとソファに座ってリアムを見詰め返して首を傾げた
リアム
「リアム·ランベールです。…宜しく」
小型魔獣にもちゃんと挨拶をして右手を差し出すと、その掌の上に右手を小型魔獣が乗せた
レティシア
「この子はジルヴァだ」
リアム
「ジルヴァ…」
虎のような白い小型魔獣はレティシアに頭を撫でられると、リアムの上に乗せていた手を退かしレティシアの太腿の上に乗せていた。
ジルヴァを見詰めるレティシアの瞳が、とても優しくて思わずリアムは見惚れてしまうもすぐに首を横に振り立ち上がる
それからリアムは紹介された人達や場所を思い返して、改めて自分が目指していた所とは違う環境を実感する。
人間を捕まえる事を諦めてはいないものの、ここで始まる新しい生活に胸を高鳴らせていた
この世界で魔法を使えるという事は当たり前ではなく、とても稀な存在だ。
人によっては差別され虐められてきた者が多く…隠して生活している者が、きっと殆どだ。
にも関わらず、魔法を使える事を晒し人を助ける為にここに居る3人は凄いなとリアムは思うのだった─