第1章 誰かの手記Ⅰ
ユリス·ロベール。
強大な魔力を持って産まれ、才にも恵まれた優秀な男の名前だ。
幼い頃から優秀で何でもそつなくこなしてしまう為、子供らしさなんてものは皆無。
そんな男(友人)を虐めようとする奴はいなかった。
挑んだところで返り討ちに合うのが道理だからだ。
何に対しても本気になれず、というより本気になる必要がなかった為…手応えも刺激もない世界は、男の目には色褪せて見えていたであろう。
勿論そんな友人…ユリスが恋愛に対して本気になるわけもなく16から女遊びが派手だった。
まさに"来る者拒まず 去るもの追わず”状態。
そうして出来上がったのが「適当人間のユリス」だ。
だが、ユリスが18の時…ある少女と出会う。
そして彼は初めて誰かの為に本気になり、笑顔にする難しさを知る