第6章 手のかかる猫
「……もしかして、嫌だった?」そう問うてみる。
「…………!?」ぶるぶるぶる!!と今度は猫が首をぶんぶん振る様な動き。
真っ赤な頬を両手で挟んで、見られまいと必死だ。
「…嫌じゃないなら、こっちを向いて」
「……!?それは」
「無理ならまたさっきの刑に「む、向きます………!!」
そろそろ~~っと彼女が上目遣いで自分を見上げる。
「もしかしてだけど……こういうの、全然したこと無いの?」
「……お恥ずかしいですが…」ぷるぷる。また瞳が潤んできている。
ーー正直、この姿の方が余程彼女が言うところの【誘ってる】ーー誘惑してる様に自分には見える。
「……じゃあ、これから全部貰うね。」
君の初めて。そう耳元で呟くと、今度は彼女を抱いて横になる。
「えっ………あの…!?刑は!?極刑…!?」
「あはは、そうだね。……君が可愛い顔をするから、刑が重くなっちゃった」
そう言って、布団を被せる。
ーー再度、彼女の口元に顔を寄せる。
「……ねえ、もう一度しない?」
「……!?」「嫌なら壁ド「やりましゅ…!!」
「ふふ……いい子いい子。」
そう言うと羽京は葵に再度キスをする。
ーー今度は優しくて、壊れ物に触れるかのように。
「……まさかこのまま寝るまで…その…き…」
どうやらキスすら言えないらしい。意外にも初心なのに苦笑する。
そのつもりは無かったが「あはは。そうだよ」と適当に答えるとひょえええと彼女が悲鳴を上げる。
ーーこの日、【どちらか寝るまでキスする刑】が新たに追加されたのだった。