• テキストサイズ

僕と彼女の共同戦線

第5章 二人の天才


「えへへ…普段はふんわりした雰囲気出してるのは前に言ったけど、裏で色々やってるからねー」
きっと嫌われたんだろうな、と思いつつ頬をかく葵。

「……ああ。でも、逆に良かったよ。おかげで作戦が上手く進みそうだ」
えっ。葵もこれには本気で驚いた顔をした。
杠も大樹も、うんうんと大きく頷いている。

「正直、アタシらだけでやるのは中々厳しいしね。
……レコード流す時に一緒に居るっての、アレとか助かるよ。ああいうのは影響力デカいアンタが言った方がいいしね。

ーーリリアンの友達として、力を貸して欲しい、ってアンタが言うんなら、スムーズだろう。」
ニッキーが、優しくも力強い眼差しで葵を見た。きっと、葵は友達の事には…リリアンには、嘘をつかない。ーーそう、見抜いていた。

「それはそうだけど……ニッキーちゃんだって、リリちゃんのファンだし……」

ーーもとより、『軍師』『参謀』という生き物は、煙たがられる事と同居している存在だ。

その高すぎる知能、有能さ故に、裏切りをしないか。いつか喉元をかききらないかーー等と上司や身内から考えられて当然の存在。それをこんなにあたたかい眼差しで迎えられるとは。

「そりゃ、アタシだってファンだよ!……けど、こういう戦の場合は違うだろ?それとレコード流す時一緒に居てくれる理由のもうひとつはーー
羽京とかち合った時も想定してんだろ?」
……ふふふ、かもねと葵は頷く。
…本当は羽京がレコードを聞く頃には、自分は居ない計画なのだが。ここは黙っておこう。

「アンタが居るなら、あの羽京もまだ心を開きやすいしね。……今日言ってた通り、アイツはアイツで掴めない奴だからさ」

「おお!!それって掴めない人間同士お似合いなのでは!?私たち!?」

ひゅんひゅんと謎の反復横跳びをすると、場がドッ、と湧く。アンタ頭いいのになんでそういう事すんのかな~と笑ってるニッキー達を見ながら、葵は静かに改めて決意した。

良かった。湿っぽかったり、暗い顔をしてなくて。

ーーこういう子達が笑ってられる様にしないとね。
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp