• テキストサイズ

SketchBook【R18】

第11章 Sketch4 --日常



「香奈江、金曜だけど今晩用事は? 無かったらメシでも行くか?」

「無いよ! じゃ、LINEしてね」


俺より一足先に出社する香奈江が、軽く俺にキスをして玄関に向かった。
閉まるドアの後に軽やかなヒールの音を聞きながら、心無しかほっとする。


付き合って間もなく、香奈江は転職をした。

当時は上司から今時酷いセクハラを受けていた。
あらぬ噂もあって、周りからも虐められていたと。
香奈江に転職を薦めたのは俺だったが、どうやら今回はうまくやっているらしい。

元々は思い遣りがあって頑張り屋の彼女。
たまたま不運だっただけだと思う。


明日は香奈江の誕生日だ。

少し奮発してあいつの好きなパティ、何とかでも行ってみるかな、そんな事を考えていたら俺のスマホのバイブが鳴って震えた。


『今晩19時にお前の会社の近くにある○✕ビルの屋上で』

それだけのSNSのメッセージ。
見知らぬ番号だった。


「………ッ」


また頭痛か。

最近、益々頻度が増えている。
額に手をやりながら舌打ちしつつ、つい悪態をついた。


「──────いい加減にしてくれよ」





/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp