第17章 Sketch6 --風龍
そんなわたしに構わず彼が声を掛けてきます。
彼が発する音は高くもなく低くもなく、そっと耳元でささやく時の声に似ています。
「ここでは私のしるしを分けよう。 こうやって、四六時中お前を抱いて空を飛ぶ訳にもいくまい。 その辺は水でも同じ理屈だったろう」
そして風龍はわたしのお腹をやさしく撫でました。
「あ……」
先ほど岸辺で感じたものと同じに、じんわりとする温かな感触でした。
「私の場合はここだ。 花嫁の神秘に護られ、その血潮とともに、常にここには風が凪いでいる。 我らの猛る雄根に貫かれようとな」
そう言って風龍は向かい合わせのままで私の中に入ってきました。
水龍と同じように少しだけを埋めて、微かに膨らんだ下腹を撫でていき、結合部の辺りでまた上へと、彼が自分のものを扱くように動いていきます。
「私の形がわかるな。 生娘だと面倒なんだが、温和な水龍に任せてよかった」
それはまるで内側に擦り付けられるのと似た感覚でした。
ほっとするような安堵感が、じりじりと熱を持ったあの刺激に変わろうとしています。
「こんなに溢れてるぞ。 もっと欲しいのか?」
初めての場ではしたない声を出さないよう、口に手を当てていたわたしは顔を熱くして目を逸らしました。
「よい。 私は放蕩な女が好きだ。 そうしたくなったらいつでも言え」
軽い笑みにも似た声とともに熱い何かが体内に迸り、驚いて体を仰け反らせましたが、風龍はがっしりとわたしを抱いて離しません。
喉を逸らしたまま、わたしは震えていました。
膣の奥、そこを通って胎内になにかが入ってきます。
痛みを伴うものではありませんでしたが、まるでそこで空気の泡が弾けて集まり、疎らに散っていくような。