第1章 君が私の煇。
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目が覚めたら夜中の4時。
え、いつ頃から寝てたっけ?
全然覚えてないけど、気づいたら
傑の腕の中で寝ていた様です。
傑の顔、綺麗だな。
何の気無しに、顔に触れた。
少しなぞっていると傑がモソモソと動いた。
起こしてしまったかもしれない。
「……ん、雪奈?…身体は大丈夫?」
少しだけ、寝起きで低く掠れた声が聞こえる。
「大丈夫だよ、起こしちゃってごめんね」
「いいや、大丈夫だよ」
「あ、そういえば。
あの………最後、何て言ったの?」
「最後?………ああ、ごめんごめん。
聞こえてなかったのか。
ちゃんと言ってなかったからね、
好きだよって言ったよ」
言われて見れば思いを言わぬまま事に
進んでしまった気がしなくもない。
と、頭で思ってても、同時に好意的な言葉を
当たり前のように話されて顔が熱い。
「ハハハ、雪奈は照れると顔が
赤くなるんだね、初めて知ったよ」
「ううう、誰にも言わないでね…」
「言わないさ、硝子もきっと知らないだろ」
「多分………」
「絶対に言わないよ。
お互い様だよ、さっきみたいな私を見れるのは
きっと雪奈だけだからね」
?
傑は結構モテてるイメージがあったけど
そんなものなのだろうか。
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