第50章 最後のデート
目の前に差し出されたキャベツの匂いを嗅ぎ、ウサギはパクッと一口食べた。
「確かに愛着湧くな…」
「だから言ったじゃないですか」
「コイツ連れて帰っていい?」
「ダメです」
「冗談だって。本気で連れて帰るわけねーじゃん。今のオレにはオマエがいてくれるし。それだけで何もいらねぇよ」
「!」
不覚にもマイキーの言葉にときめいてしまい、頬を紅く染めるカノト。
「あ、照れてる。ホント照れ屋だな〜カノは。まぁそこも可愛いんだけど」
マイキーはクスッと笑い、残りのキャベツをウサギに与える。
「オマエもオレの彼女かわいーって思う?」
するとウサギは"ぷうぷう"と鳴く。
「だろ。オレの彼女はすげぇ可愛いの。照れ屋で恥ずかしがり屋だけど、オレのことをめちゃくちゃ愛してくれる最高の女なんだ」
「ウサギ相手に惚気ないで下さいよ」
「コイツもオマエの可愛さが分かるってさ」
「本当にそう言ってます?」
「言ってるから鳴いたんだろ」
マイキーはウサギの背中を優しく撫でる。
「ウサギさん、にんじんもどうぞ」
今度はカノトがにんじんをあげると、ウサギは美味しそうに食べ始めた。
「やっぱり可愛い」
「(うっわ。ウサギと戯れるオレの彼女がマジで可愛すぎる…!!)」
このチャンスを逃さまいと、携帯を取り出したマイキーはカメラを起動する。
「ウサギさん、少し抱っこさせてね」
残りのにんじんを食べ終えたウサギを目線の高さまで抱き上げ、小さく笑う。
「今日はありがとう、ウサギさん」
その時、パシャッと音がして、マイキーの方を振り向く。
「ウン、すげー可愛い」
「撮るなら言ってください」
「ベストショット撮れたぞ」
マイキーは撮った写メをカノトに見せる。
「本当だ。良く撮れてますね」
「カメラマンの腕が良いからだな!」
「(貴方は総長では?)」
ウサギを地面に下ろすと、二人のことをじっと見つめていたが、他の子供達が近寄ると逃げるようにぴょんぴょん飛び跳ねて行った。
それから二人は他のウサギやモルモットにも触れ合った後、ふれあい広場を出たのだった。
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