第11章 やっと手に入れたモノ
「姉ちゃんと買い物してたら見かけて…」
「とにかく!"ドラケン君命"のエマちゃんがあんな事するなんてあり得ない!」
"くっつくなよ"
"ヤダ♥"
マイキーの腕に手を絡ませ、ピッタリ寄り添うように二人は歩き出す。
「(エマちゃんが…マイキーくんに触れてる。マイキーくんも口で嫌がるだけで本気で引き剥がそうとしない…)」
モヤっと黒い感情が心を埋める。
「(あの二人って…)」
袋を胸の前でギュッと抱きしめる。
「この謎は私が解いてみせる!」
「姉ちゃん今"探偵"にハマりまくってて」
「みんな早く!後をつけないとだよ!」
ヒナが先陣を切って二人を尾行しようとする。
「申し訳ないけど僕達は…」
「いいじゃん宮村。カフェには間に合うように着けばいいって。それより面白そうだから付いて行こうぜ!」
「えぇ……」
案外乗り気の友人に引っ張られ、カノト達はマイキーとエマの尾行を開始した。
✤ ✤ ✤
「うまい」
「へへへーでしょ!?」
生クリームの乗ったスプーンをマイキーの口に運ぶエマ。美味しそうに食べるマイキーの笑顔にエマも嬉しそうに返す。周りから見れば二人は仲睦まじい恋人だ。
「(あんなに嬉しそうな顔、見たことない…。やっぱりエマちゃんの事が…?)」
「見たまえワトソン君!エマちゃんのあの目…」
「目?」
「あれは絶対恋してる目!女の勘よ!」
「!」
「なるほど!すげー説得力だ!」
ヒナの話に感心を覚えつつも、タケミチの目は自然とエマの胸に釘付けになる。
「たしかに恋してる目だ」
「フケツ!!どこ見てるのよ?」
ドスッ
「出た…姉ちゃんの探偵パンチだ」
「(見たくないな…)」
楽しそうに笑い合う二人を見たくなくて、背を向けしゃがみ込む。
「あれ!?タケミチじゃん!!」
「山岸!」
偶然会った山岸に事の経緯を説明する。
「それは事件だな!」
「だろ!だから真相を確かめる為に後をつけてんだけど…」
「決定的な証拠は掴めてない!」
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