第58章 かつての仲間と共に
2008年7月15日───。
「お前が入院したって聞いてマジでビビったからな」
「心配かけてごめん」
「もう起きてて平気なのか?」
「うん」
三天戦争から1週間が経ち、怪我で入院しているカノトの病室に学校帰りの陽翔がお見舞いに訪れていた。
「…随分派手にやられたな」
「美形が台無しだよね」
「怪我してても相変わらずかよ」
腕と首に包帯を巻き、頬にはガーゼを貼ったカノトの痛々しい姿に陽翔は顔を歪める。そんな彼を心配させたくなくて戯ければ、陽翔は可笑しそうに吹き出した。
「お前が1週間も休むから女子共が騒いでた。俺にまで八つ当たりしてくんだぜ?」
「それは災難だったね」
「前に俺が風邪で休んだ時は毛ほども興味ない素振りだったのに…!!」
「誰も気にしてなかったよね」
「少しは気にしろよ!クラスメイトだろうが!しかも俺が休んだことさえ知らない奴いたし…!!」
「透明人間とでも思われてるのかな」
「ちゃんとこの世に存在してますが!?」
驚きながらショックを受ける陽翔に"冗談だよ"と笑って返せば、"お前俺をいじんの好きだよな…"と恨めしげに睨まれた。
「そーだ。お前が休んでる間、アイツがご親切にノート取ってくれてたぞ。今日は用事で来られなかったけどさ、渡してくれって頼まれた」
「委員長にも心配させちゃったね。ノートもわざわざ有難うって伝えておいて」
鞄から出したノートをカノトに渡す。受け取る時に病衣の袖口からチラッと手首に巻かれた包帯が見え、陽翔は辛そうに顔を歪めた。
「ほんと…無茶はすんなよな」
「気をつけるよ」
「お前が元東卍ですげぇ強いことは知ってるけど…人間いつ死ぬか分かんねぇだろ。俺はまだお前の葬式で線香は上げたくねぇからな」
「僕だって死ぬつもりはないよ。でも…そうだね、人間という生き物は弱い。ちょっとした不運に巻き込まれただけで命を落とすこともある。だから死なない程度に頑張るよ」
「死なない程度って…お前な。マジで頼むぞ。お前に何かあったら俺もアイツも心配するんだからな」
「うん」
カノトの言葉に陽翔は呆れた表情を浮かべた後、真面目なトーンでこちらを見た。
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