第56章 彼の運命
「千咒!!!本当にドラケンが殺られたのか!?」
「武臣…」
「くそ!なんでこんな事に!!」
ドラケンの死を聞き付け、梵No.2の明司武臣が三人の前に現れた。
「六破羅単代今から潰すぞ」
「!!」
怒りを滲ませた武臣の宣言に、千咒は驚いたように目を見張る。
「何言ってんだよ武臣!!」
「ベンケイ、梵全員大至急招集しろ!!」
「オウ!!」
そこには梵のメンバーも集まっており、武臣の言葉を聞いたベンケイが強く頷く。
「武臣!!正気かオマエ!!?今日はダメだ!!」
「あ!?じゃあいつならいい!!?」
「わかんねーけど今日じゃねぇ!!」
「じゃあこのまま引き下がんのか!!?ドラケン殺られてんだぞ!!?」
二人の言い争う声は更に強まる。
「いいか!?千咒!!もうこれは"誰が一番強ぇか"みてぇなガキの喧嘩じゃねぇ!!殺し合いだ!!」
「違う!そんなのジブンの望んでいるカタチじゃねえ!」
「それをぶち壊したのは"六破羅単代(ロクハラ)"だ!!」
千咒と武臣の言い争いはヒートアップする。その一方で、タケミチは依然上の空。カノトも顔を覆ったまま、微動だにしない。
「オイオイオイ、随分盛り上がってんじゃねぇかよ!?」
「!」
「こっちから出向いてやったぜ!?ドラケンの"鎮魂歌(レクイエム)"によぉ!!!」
「"六破羅単代(ロクハラ)"」
不穏な空気の中、サウスが六破羅単代を引き連れてその場に現れた。
「はじめようぜ、最終戦争(ハルマゲドン)。」
「上等だ!!ここで終わらせてやる!!」
梵と六破羅がぶつかる直前、聞き覚えのあるバイクの排気音が響いた。
「(懐かしい音がする…)」
「!!」
「この排気音…」
「なんだ?」
全員の前に現れたのは、関東卍會の特攻服を着たマイキーだった。
「…マイキー君」
三天時代の3チームが集結し、一触即発の雰囲気が漂う中、タケミチが静かに発したマイキーの名前に、カノトは覆っていた手を外し、顔を上げた。
「っ───………」
紫色の瞳が映したのは、海辺で別れて以来、ずっと会いたかった、大好きな人の姿だった───。
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