第52章 辿り着いた未来
眠りから覚めると"一緒に風呂入ろ♪"と清々しい程の笑顔で言い切られ、マイキーに後ろから抱き締められる体勢で湯船に浸かる。
「腰が痛いです」
「そりゃあんだけ激しくヤればなー」
「声も掠れてる気がします」
「気持ち良さそうに喘いでたもんな❤︎」
「手加減って言葉知ってます?」
「オレに手加減なんて出来ると思う?」
真面目な顔で聞き返され、返答に困った。
「オレと同じシャンプーの匂い」
「嗅がないでください」
「やだ」
好きな恋人を抱けて、お風呂も一緒に入れて幸せなのか、機嫌が良いマイキーはカノトを両腕で抱き締めながら、後頭部に鼻先をくっ付け、自分と同じ匂いがするシャンプーの香りをスゥゥゥーッと吸い込む。
「万次郎くんの髪から落ちる水滴がうなじに当たってヒリヒリします」
「愛が染み込んだと思えよ」
「愛が染み込んだ割に痛いんですけど。というか何で噛んじゃうんです」
「泣かせてみたくなった」
「ドS発言…」
「オマエ限定」
うなじに残る歯型の上から唇を押し当て、軽くチュッとキスを落とした。
「ハァァ…好き」
「私も好きですよ」
「オレの愛の重さ舐めんな。その好きにどれだけの愛が込められてると思ってんだよ」
「何でちょっとキレ気味なんですか」
「好き、好き、マジで好き。オレのこと一生大切にして。絶対幸せにして。もしカノに愛想尽かされたらオレ死ぬから」
「相変わらず愛が激重なんだよなぁ…」
闇堕ち化が始まりそうな不安もあったが、どうやら愛を拗らせているだけだった。
「"コレ"も愛してる証拠じゃん」
「随分と強烈な愛の伝え方ですね。もう噛まないって約束したのにあっさりと破ってくれて。噛まれたとき本当に痛かったんですよ」
「オレだって我慢してたんだって。でも激しく乱れるカノの甘い声とよがる姿見たら、興奮して止まんなくなっちゃった❤︎」
「っ…………」
「カノがエロいのが反則なんだよ」
「別にエロくないです」
「は?この身体のどこがエロくないんだよ。もっかい抱いて証明してやろうか?」
「目がガチ過ぎてコワイ」
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