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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第4章 抱擁


 夕凪――

 俺の気持ち、ちゃんと伝わってた?

 あの日、盆の日、

 おまえに早く会いたくて予定より少し早く帰省した日、

 初めておまえのこと抱きしめた日。


 こっそり待ち受けに俺との写真なんか設定してよ、恥ずかしそうに携帯見ないでって言ってきた時、夕凪はひょっとしたら俺のこと、好きかもしんねーって思った。

 抱きしめて、おまえが俺の背中に手を回した時は、死ぬほど嬉しかったし、俺の気持ち通じたかなって思った。

 だけど、夕凪はいつも不安そうだったよな。

 俺はこんなにおまえのこと好きだってのに。夕凪しかいないってのに。

 おまえはいつも自分より俺で、そこが他の女と全然違って、まるで空気みたいに当たり前にそこにいた。



 ……



 あの日、盆の日、

 隣に立つ君があまりに美しくて何も言えなかったあの日。

 僕はさ、離れで好きだって言おうとしたんだ。それで夕凪を僕のものにしたかった。

 でも、好きって言葉は、僕たちの関係を表すにはあまりに大衆的で、あまりに普通すぎて、薄っぺらい気がしてさ……

 僕は、夕凪を見ながら1番その時の気持ちに近い言葉を告げたんだよね。

 ずっとそばにいて、って。
 ずっと僕の見えるとこにいて、って。

 それは、まだ、ぼんやりしたものだったけど、これから先もずっと未来も、って僕はそう思ってた。


 でも、やっぱり……好きって言えばよかったのか? ちゃんと好きってはっきり言っておくべきだったのか?

 今頃になってあの盆の日の事を少し後悔してる。


 僕が好きって言ってたら、そしたら、君は、夕凪は、




 今も……


 
 僕のそばにいてくれた?





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