第13章 幸せのピース
"カチャリ"
下駄箱の上に鍵を置いた。住まなくなったら、鍵は家の中に置いて出る――そういう話になっている。
手袋をしてコートを羽織り、鼻までマフラーをぐるっと巻いた。東京なら真冬の装いだ。外に出ようと玄関のドアノブに手を掛ける。勢いよくドアを開けると、雪面に反射した陽の光がキラッと目に飛び込んできた。
今日はいいお天気だ。旅立ちの日に相応しい。足元を見ると30センチほど積雪があるから、滑らないよう注意して、彼の元へと駆け寄る。
「悟くんお待たせ。宝を抱いててくれてありがと」
「じゃ、行くか」
「うん、よろしくお願いします」
あたし達三人は北の大地を後にして、空港へと向かった。