第1章 出会い
女っていうのはぜんぜんわからねー。
何がおもしろいのか、ちまちま人形の髪を梳かしてたり、塗り絵とかいう塗ったところで全く強くならねーもんを必死で線からはみ出さないように塗ってたり。
「見てみて! うまく描けたでしょ?」って得意げな顔して絵を見せてきたけど、それはチューリップらしいけど、俺は呪霊の触手にしか見えなかったから、黒で塗りつぶしてやった。
泣く。
すぐに泣く。
そして怒る。
うるせー。
でもそんな夕凪を見てるのは嫌いじゃなくて、俺は泣かしてはその顔見て笑ってた。
いじめたくなるのは夕凪のせいだろ。どんなにやられてもめげずに口ごたえしてくんだから。
俺は負けたくねーし張り合うだろそりゃ。
テレビゲームがやたら強いのはムカついたけど対戦型のゲームはひとりでやっても面白くないからそこは仲良くしてやった。
夕凪はしかめっつらして何回も俺に「嫌い!」って言ってくる。俺はそんなのぜんぜんこたえねーし嫌いになる意味もわかんねーけど。
そんな夕凪も俺が術式の話をしてる時は違った。
深碧の目をキラキラさせて、当たり前っちゃ当たり前なんだけど俺のこと慕って尊敬してたんじゃねーか?
俺たちはよく呪力を使って遊んでて術式が使えるようになったらすぐ見せたし、あいつも術式を見せた。
呪力を術式に流し込んでモノを壊すのが楽しくて、それはあいつも好きだったんじゃないかな。
簡単に言えばこの時の夕凪は俺にとって手下みたいなもん。
俺が言いたいこといって、遊んで、気に入らねーと泣かして、まあわりと雑に扱ってたかもしんねー。