第41章 Lover

ゆっくりと手を離すと、涙を拭いながらセリーナがため息をついた。


「……シュウが、あの子を選んだ理由、なんとなくわかる。
ひまわりみたいだもの。彼女。
きっと私仲良くなれないわ」

「…あいつ、あれで結構黒いところあるぞ」

「私が真っ黒みたいに言わないでよ」

「まぁでも、確かにいい子なのは間違いない。
…俺にはもったいないぐらいだ」

「シュウでも、惚気ることあるのね」


そんな言い合いをしていると、後ろからサラの声がした。


「セリーナさん！良かった！
ほらぁ！やっぱり羽田だったでしょ？」


笑ってそう言うサラが可笑しくて、俺はフッと口角が緩む。
気を張っていた分、力が抜けてきた。


「？なんで笑うの？ていうか、ちゃんと話せた？これから？」


状況が理解できていないサラを見て、セリーナが相変わらず高飛車な態度で言う。


「ええ。あなたの悪口を言ってたの。ふたりで」

「えぇ？！ほんと！？赤井さん」


またややこしいことを言って…
呆れながらサラに弁解しようと口を開いたとき、
間髪入れずにセリーナが突っ込む。


「あなた私と比べると
胸は無いし、
スタイルも普通だし、
顔も負けてるし、
なんならキャリアだってショボいし？

…でも、シュウはあなたが良いんだって。」

「え…」

「もし今度会う時、シュウの隣にいなかったら許さないからね。サラ。」

「セリーナさん…」

「じゃあ、私は行くから。サヨナラ」


そう言って笑うと、セリーナは一度も振り返ることなく保安検査場の中へ入って行った。