第32章 Soon You'll Get Better ☆

安室side

「うわぁ。ちゃんとお粥になった！」

「卵はしばらくかき混ぜないように」

「うん！」

お粥が美味しそうにできて、サラはご満悦のようだ。
もっとも、あっちは気が気じゃなさそうだけど。

そう思いながらベッドの方を見ると、赤井が今にも飛びかかって来そうな目でこちらを見ている。

これぐらいの仕返し、別にいいだろ？
お前はもうサラを取り戻して、自分のものになったんだから。

サラを見ると、嬉しそうにお粥を味見して、あち。と舌をやけどしている。

「ちゃんと冷まさないと」

「あはは、ほんとだね。」

そう言ってサラを見ると笑ってこっちを見てくる。
付き合う前と同じ笑顔。

僕と付き合っていた時は、僕を好きになろうと必死な笑顔だった。
それはそれですごく可愛いと思っていたけど、やっぱりこっちの笑顔の方がいい。

思わずサラの髪に手が伸びた。
もう触れられない。そう思っていたけど、手を伸ばせば簡単に髪を撫でることができる。

諦めの悪い男だな。