【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第30章 I belong with you ♪
安室side
賭けは僕の負けだった。
来ると思ってたよ。
98%、赤井はサラを取り返しにやってくると思っていた。
けれど1%の来ない確率と、残り1%で赤井が来てもそれでもサラが僕を選んでくれる確率
2%に賭けたんだ。
僕はRX-7の運転席に乗ると、車を発進させた。
来る時は助手席にサラが乗っていたけれど、今は誰もいない。
スマホをハンズフリーにして、コナンくんに電話をかけた。
「もしもし。上手くいったよ。
コナンくん、ありがとう」
「…安室さん…。ありがとう。」
「どうしてコナンくんが礼を?」
「ありがとう…」
不意につけたラジオからは、女性カバーのスタンドバイミーが流れた。
綺麗で透き通るような歌声。
無心で車を走らせて、赤信号で止まったとき、僕から涙が溢れた。
「あれ…」
覚悟していたはずなのに、思った以上に重症だ。
サラと過ごした日々は、一瞬で過ぎ去った台風みたいだった。
サラに近づく毎に、好きが増して気付いたらもう引き返せない。
そして、過ぎ去ったあとは何事もなかったかのような静寂。
「零」
そう呼ぶサラの顔が浮かんで消えない。
僕は路肩に車を停めた。