【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第20章 No way to say ☆ ♪
いよいよ引っ越し当日がやってきた。
「本当にお世話になりました。
そして今後ともよろしくお願いします。」
わたしはその日の夕方、工藤邸の前で優作さん有希子さんに頭を下げた。
「近くだし、いつでも遊びにきて?」
「はい!またお茶でも」
優作さんが手配してくれたのは、阿笠博士の家から徒歩3分ほどのマンションだ。
家具家電はもう準備してくれているらしく、わたしは自分の身の回りのものをトランクと段ボールに詰めて今から赤井さんの車で新居に移動する。
わたしが赤井さんの車に乗り込もうとした時、有希子さんがわたしを呼び止めた。
「サラちゃん」
「はい?」
「秀ちゃんのこと、よろしくね。
彼、あなたの事が好きすぎて、逆にちょっと心配なのよ。
あなたのためなら、自分の全部を犠牲にしそうで。
…秀ちゃんを守ってあげてね。」
有希子さんは人のことをとてもよく見ている。
女優という職業柄だろう。
確かに、赤井さんはわたしのことになると時折冷静さを失う場面がある。
「はい…」
有希子さんがわたしの髪を撫でた。
まるで本当の母親みたいに。
「じゃあ、そろそろ行きますね」
そう言うと、わたしは赤井さんの車に乗り込んだ。