第52章 Getaway Car 　☆

俺と2週間離れるのは、寂しく無いのか…


「…バイトはどうする？」

「もうマスターに言って、2週間お休みもらえることになってるよ」


サラにしては珍しく準備のいい…

自分ばかり、サラと離れたく無いと思っているのが悔しくて、俺はつい冷たい態度を取ってしまう。


「…2週間も誰かに代役頼むのか。迷惑だろうな」


ちょっと言いすぎたか…
そう思いながらサラを見ると、しゅんとした顔をしてデザートのチーズケーキを口に運んでいる。


大好きなチーズケーキを食べてるのに、全く嬉しそうじゃ無い。

言いすぎたな…完全に。
途端に申し訳なさが襲ってきて、サラの機嫌を取ろうとしたとき、サラは俯いたまま言う。


「…いいじゃない。別に。
マスターは良いよって言ったんだから。」


さすがに、俺のこの態度にサラもムッとしたらしく、珍しく言い返してきた。


「サラ…」


慌てて俺が謝ろうとしたとき、サラはガタッと立ち上がり、テーブルに金を置いて言う。


「…歩いて帰る」


そう言って、プイッとそっぽを向いてレストランを出て行った。

すぐに追いかけて謝ればいいのに、俺は性懲りも無くまだ思ってる。

俺はお前と2週間離れるなんて耐えられない。
前に一度別れたとき、死にそうだったんだ。
本当なら1日だって離れたく無い。

当然、サラもそうだと思ってたんだよ。

サラと喧嘩をするのは久しぶりだ。
セリーナのことで誤解されたり、ジンとのことで一瞬気まずくなったりはあったが、こんな風に言い合いをして喧嘩するのはやり直してから初めてかもしれない。

帰ったら謝ろう。
俺はサラが置いて行った金を返すために胸ポケットに入れ、自分の財布から会計を済ませて店を出た。