第12章 好きなもの
(茉莉花茶はどんな味だろうか?が喜ぶような珍しくてうまいものであるといいのだが)
コポコポとカップへと茉莉花茶を慎重に注ぎ入れると、茶とは思えない華やかな香りが2人の鼻腔をくすぐった。
「!茶から花のような甘い香りがするぞ!君のカップにも注いでおくから、少し冷めてから飲みなさい。先に俺が味をみてみる!」
「いい香りですね!なんだかドキドキします」
ずっと動いていたの手が止まって杏寿郎が注いでくれたカップに視線が固定され、次にカップを口に運ぶ杏寿郎へと縫い付けられた。
フワリ
再び杏寿郎の髪が広がり、それを見ただけで茉莉花茶がとてつもなく美味しいものだとに伝わる。
「何とも優しく可愛らしい味のする茶だ……これはうまいぞ。アイスクリンにもきっと合う!口の中が冷たくなっているのだから、は火傷しないように慎重に飲むようにな!いいな?」
いつの間にかカップを手に取りうずうずと体を動かすに注意を促し、頷きゆっくりとカップを口へ運んでいく姿を親が子を見守るような優しい瞳で見守った。
すると今度はの髪がフワリと広がり、幸せだと物語るように頬が紅潮した。