第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
「ぁあ?加減してやってるだろォ!こいつにやらせた柱稽古に比べりゃあどうってことねぇ稽古じゃねぇか!」
そもそも実弥が2人の門下生たちに稽古を付けたのは偶然と気まぐれから始まった。
柱として数年間鬼殺隊に在籍していた杏寿郎はともかく、柱としての在籍期間が短く後輩を育てたことのない……しかも基本的にふわふわした雰囲気を醸し出しているが上手く師範代を務めているのか心配になり、ある日様子を見に煉獄家へと赴いたのだ。
そしてそこで目にしたのは、阿修羅の顔をして門下生たちへと稽古を付けるの姿。
その姿にホッといきをついていると、門下生の親と思われる男性から声を掛けられた。
『もしかして貴方も鬼殺隊の柱だった方ですか?』
と。
隠すことでもないのでと杏寿郎を視界の端に映しながら頷くと、その男性はパッと顔色を明るくして実弥の手を握り、師範と師範代と手合わせをして欲しいと願われた。
杏寿郎との門下生の父親と思われる男性の願いを無碍に出来ず望まれた通り手合わせを行った結果、今はその時の行動を後悔しているであろう門下生たちがワラワラと集まり、様々な質問を浴びせられ……
『そんなにも気になるならば不死川に相手をしてもらうのはどうだろうか?不死川が稽古をしてくれた時間と同じ時間、俺たちの稽古を延ばすという条件付きだがな!』
と杏寿郎に提案されてしまい、特に予定のなかった実弥は門下生たちに付き合ってやったのだ。