第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
すっかり暑さも遠のき、あと少しで師走という季節になった。
操り人形のようだったも日々短い練習時間しか確保出来なくとも、流石に月日が経過すれば上達もする。
の努力の賜物……だけでなく、の上達には杏寿郎も一役買っていた。
早い段階で自分の舞を完璧にこなした杏寿郎が、の辛抱強い振付師に願って紫炎の舞を教わり、それを覚えて涙ぐましい努力を重ねる妻に教えてやっていたのだ。
「どうでしたでしょうか?自分では随分と舞えたと思うのですが……」
日が高くとも体が冷える時期なので、現在は道場内にて杏寿郎や門下生たちに見守られてお披露目をしていた。
今までの成長を見守ってきた杏寿郎含め門下生たちは、もはや子供の成長を喜ぶ親のような気持ちとなっている。
「完璧ではないか!よくやった!技へ繋げる動きも滑らかでとても綺麗だった」
「ありがとうございます!それもこれも杏寿郎君や皆さんに、たくさん助言をいただいたお陰様です」
穏やかな笑顔でへと歩み寄った杏寿郎は照れ笑いを浮かべるの頬を撫で撫で。
稽古外の2人の仲睦まじさに、もう門下生は驚きもしないし動揺を現すこともない。
稽古の度に見せつけられれば嫌でも免疫がつくというものだ。