第6章 第26章 月と太陽 1873ページより
そうして未経験者、経験者問わず門下生全員に視線を巡らせると笑顔のまま腰に手を当てて声を出した。
「……師範代は見た目が華奢で強さを感じ取りにくい!しかし柱全員から力を認められ柱となった!俺ですら簡単に1本取ることは叶わないので、めげずに腐らず食らいついていってくれ!必ず彼女は応えてくれる」
溌剌とした笑顔から、師範自身も師範代を信じていると分かるような強い光を放ちながらも、大切で仕方がないと言うような穏やかに弧を描く瞳に皆が釘付けとなる。
「師範いいですよね、あんなに強くて可愛らしい奥さん。どこで知り合ったんですか?やっぱり鬼殺隊で任務を一緒に行ったとかですか?」
「そうだろう!俺の妻はどこの誰よりも愛らしいからな!ちなみに知り合ったのは山の中だ!」
より年下と思われる少年の言葉に自信満々の笑顔で答えるも、余りの惚気けっぷりと足りない言葉に全員が動きを止めてしまった。
「お待たせ致しました!傷の手当てを……あら?皆さんどうされましたか?私の顔に……何か付いているのでしょうか?」
皆の視線を一斉に浴びたは慌てて顔を袖で拭うも何か付いていた様子がなく、戸惑い気味に杏寿郎へ視線を送る。