第6章 第26章 月と太陽 1873ページより
祝言が終わり数日後。
剣術道場に門下生がやってくる日の朝、2人は穏やかに仲良く朝餉を取り終わり道着に身を包んでいた。
「本当に私も初日から参加してもよろしいのですか?門下生のご両親はご子息に杏寿郎君の教えをと希望されているのでは……」
「ん?言っていなかったか?俺の教えも希望してくれているが、祝言の前に父上が息子の可愛らしい許嫁も柱だったんだと生家のご近所で嬉しそうに話した結果、門下生が増えたらしいぞ!本人からのな!」
初耳だったは髪を後ろで1つに纏めようとしていた手を止め、目を見開いて杏寿郎を仰ぎ見た。
それもそうだろう……まさか槇寿郎がそんな事をご近所さんに話し、恐らく柱就任期間最短記録を更新したであろう自分の評価を上げてしまっていたのだから……
「え?!柱だったと言いましても末席ですよ?!結局杏寿郎君には追い付けず終いでしたし、もう無尽蔵に動き回ることも出来ませんし……えっと……皆さんが到着されるまで手合わせお願いいたします!失望させては大変です!」
後ろにまとめる予定だった髪は鬼殺隊時代の緊張感を取り戻させるためか……右側に寄せて輪っか状に纏めた。
気合十分、未だに衰えぬ向上心に杏寿郎は満面の笑みで頷きの手を取る。