第9章 きっとまた会えるから
一月六日の夜。
俺はお館様からの任命を受けて、要の案内に従い鬼の出没する現場にやって来た。この辺りで最近頻繁に、行方知れずの人が出ているらしい。派遣した隊士も戻らないという事だった。
月の照らす夜だ。
沼地の鬱蒼とした場所に到着すると、既に鬼と対峙している鬼殺隊士が6名と、倒れている隊士が数名いるのが見えた。
鬼の気配は一体だな。なるほど。使う血気術は、状況を見て直ぐに理解した。
隊士の一人が俺の方に駆け寄ってきた。
あのツヤツヤの髪は見覚えがある。確か…田村君、いや、村田君か。
「煉獄さん!鬼に近づいて斬ろうとした隊員が次々に倒れていきます!!」
村田君の唇は震えていた。
「村田君、どうやらこの鬼は毒のある針を使い、回転しながら足元から隊士を襲い、攻撃出来なくさせている。針の動きは早い。
見えなくて皆近づいたのだろう。君も気を付けろ!」
「はい!!煉獄さんもどうかお気をつけて!!」
「うむ!君は倒れている彼らを介抱してくれ。」
そう言うと俺は鬼の近くまで移動した。鬼は数本ある腕から生えた針を飛ばしている。全て避けてさらに近づいた。
低い所からの攻撃か。ならば!
俺は日輪刀を巨大な鬼めがけて振り上げた。
「炎の呼吸弍の型!昇り炎天!!」
鬼の首は斬った。
もう鬼の気配はない。
刀を収めると、他の隊士が集まって来た。皆安堵の表情をしている。
必死で闘ったのだろう。皆傷を負っていた。
村田君は倒れている隊士の無事を確認して介抱していた。
良かった、死んだ者はいない。
しばらくして隠が到着して、俺は指示を出した。事後の処理を確認した後、皆を労いその場を離れた。