第40章 scene ■
五条と約束していた京都旅行。
と言っても五条は京都校の学長や上の面々に用事があるらしく、クマと共に先にどこか観光しててと言われたわけだが、レイも京都校の皆には久しぶりに会っておきたかったので京都校にも着いてきていた。
今回、嫌がるクマを無理矢理連れてきたのは意外にも五条だった。
それは、四六時中レイに自分がついていてあげられないからという理由で、
言い方は悪いが護身用として連れてきたわけだ。
美味しいスイーツがいっぱいあるよ〜
などという誘い文句を五条がつけたにも関わらずクマが最後まで渋っていたのには理由がある。
レイが京都校の面々にLINEで知らせてしまっていたため、勢揃いで待ち構えているというのだ。
つまりクマは、東堂葵に会いたくない。
あの時のことをまだ根に持っているらしい。
終始機嫌が悪そうだ。
「うあ…なんかもう既にあいつの匂いがしてきた…」
まだタクシーの中だと言うのにクマが鼻をクンクン動かしながら言う。
「もお、そんなに嫌?東堂くん結構良い人じゃん」
「馬鹿言え!おいらあいつに売り飛ばされたんだぞ!」
「ははっふははっ、その話何度聞いてもマジウケるよ?くまポン♪アイドルに抱き締められてよかったじゃあん♡あ〜写メりたかった!」
「てんめぇ……殺す!!」