第29章 intention
百鬼夜行 当日。
もうかなりの被害を被ってしまっていた。
新宿を担当していた伊地知の前に、
制服姿の女の子が2人…
人間たちを吊るしまくっている…
伊地知の額に汗が滲む。
この子たちは…夏油一派の…
「君たち…歳は?」
「15ぉ〜」
「まだ子供じゃないですか…
今ならまだ引き返せます。
善悪の区別もついていないでしょう」
「カッチ〜ン
美々子ぉ〜あいつゲロムカつかねぇ?」
「吊るす?菜々子。」
2人は本気で怒りを込めた目をして喋りだした。
「アンタらは知らねーだろ。地図にも載ってねーようなクソ田舎で呪術師がどういう扱い受けてるか。」
伊地知は眉を顰めた。
この子たちはもしかして…あの日夏油さんが赴いた任務先の?
「善悪?そんなんアンタらで勝手にやってろし。
夏油様が言えば黒も白だし、白も黒なんだよ。
私たちは、あの人が見据える世界を信じてる!」
術式呪力を込めたスマートフォン…
そして縄と…
伊地知が震える拳を握った。
「邪魔する奴は…吊るしてやる!!!」
バゴオオオオオン!!!!!!
その時、別の夏油一派と対峙していた五条が現れた。
「邪魔だ。」
バババババ!!!
ドガガガ!!!
「ボビーオロゴンみたいな喋り方してんじゃねーよ」
やばい…
五条さんキレてる…
無下限呪術を発動している…
圧倒的な力に唖然とした一派たちは
悔しそうに奥歯を噛み締めていた。