第22章 impurities
あの時、あの場所での会話が蘇る。
"夏油傑。お前は神無月レイが大好きだよな"
"あぁ。もちろん。本人には恥ずかしくて言えないけどね、愛しているよ。
これ以外の言葉は見つからない…かな…"
"そうか。おいらも大好きだ。だから1つ約束してくれ"
"約束?"
"人間は約束が好きだろう?
レイに悲し涙は流させないって"
"今さら何言ってんのさ。
約束もなにも…そんなこと当たり前だろ"
夏油はフフっと笑った。
「…もう破っちゃったかな」
「これから破ることになる。
つまりお前は大嘘つきクズ野郎になる。」
夏油は腕を組んで視線を落とした。
「……なぁ、クマ助…君はずっと勘違いをしているようだったから、この際言っておく。」
「あ?」
「人間は、誰彼 約束が好きなわけではないんだよ」
「・・・」
「約束というのはね、保証がないから作るものなんだ。
それは裏を返せば、破れる事を想定してるからこそ約束する、ということなんだよ。」
クマが数回瞬きをした。
長いまつ毛は、灯りによって影を落としている。