第18章 holy night■
クシャリと片手で髪を掴まれ、もう片手で背中を抱かれ、首筋に顔を付けてその快感がおさまるまで息を荒らげている夏油。
その大好きな彼の長い髪を優しく撫でる。
しばらくしてゆっくりと顔が離れると、その艶やかな長髪がパサリと自分にかかり、優しく短いキスをされ、体を拭われた。
今までになく激しく濃厚な情事だった。
今までになく燃え、今までになく近くに彼を感じた。
「はぁ…はぁ…ごめんね…つけ忘れちゃったよ」
苦笑い気味でそう言う彼は、避妊具のことを言っている。
日頃の激しい任務のこともあり、レイはいつもピルを飲んでいるから正直そこまで心配はいらない。
それに…
そんなものをつけなくても、いつかなんにも気にせずに肌を重ねられる日が訪れてほしい。
その思いも込めて切なく笑った。
「…傑……」
「ん?」
「もっと…したい…」
彼が笑って頬を撫で、唇を撫でた。
「ふっ…いけない子だね君は…」
「…だって聖なる夜なんだよ?恋人の日なんだよ?ダメ?」
「いいや。泣いても喚いても犯すつもりだった。そう最初に言ったろう?」
そんなことを言っていても、優しく笑って優しい手つきで撫でてくれる彼。
私は幸せしか感じない。
伝わっているかな…
「でも、いけない子の元へはサンタは来ないんだよ…」
「そんなのいい。傑さえいてくれればいい。
ずっとずっと…この先も…」
永遠に…
愛してる…
ふたつの唇は、また激しく重なった。
ポインセチアよりも赤く燃えるような夜だった。
そして、あるはずのない永遠を永遠と感じさせる、まさに聖なる夜だった。
愛は寛容であり、愛は情け深い。また、ねたむことをしない。
愛は高ぶらない、誇らない、無作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。
不義を喜ばないで、真理を喜ぶ。
そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。
あの夜、クマが読んだ聖書の一節。
それがまた夏油の耳には聞こえた気がした。