第1章 ruby
「ねぇ…夏油くんはさ、どうして…こんなに私に優しくしてくれるの?」
高専の少し離れた場所に位置する、公園のベンチ。
上を見上げると、綺麗な三日月と瞬く星が散らばっている。
ここに連れてきてくれたのは夏油傑。
そして、高専に連れてきてくれたのも彼だ。
私の小さな問いかけに、彼は上を見上げたまま口角を上げた。
「面白いことを言うな、レイは。
ただ星が綺麗に見える場所に連れてきただけで優しいなんて」
「違うよ。…それだけじゃない。」
今、夜で良かったと心底思った。
でないと私の顔は今…ひょっとしたら赤いかもしれない。