第48章 hesitation
どうしていつもこうなのこの人は!そろそろ限界!と思いながらギロッと睨み、ようやく初めて五条と目が合った。
「そんなこと気にするなよっ。確かにレイって1人しか経験ないわけだけど、キスもその体にも満足してるよ?僕はっ。それで十分でしょー?何か不満〜?」
その言葉に、信じられないものを見るかのように目を見開く。
「………ほんっと最低。」
「っえ?」
「女の子への気遣いは、ジュンさんには習わなかったの?!」
「……は?」
「ジュンさんに教わったのは上手いキスの仕方と上手いセックスの仕方だけ?」
「……ちょ、ちょっと待って…え…なんであいつの」
〜♪
インターホンの音楽と共にクマがオートロックを解除した音が鳴る。
「あぁいう女性がタイプなんだよね。お店の常連なんだか元恋人なんだか今もそうなんだか知らないけどさぁ」
「待って待って!なになにどゆこと?え?整理して話してよ。いきなりそんなにまくし立てられても状況掴めないよ」
ピンポーン♪
五条が慌てて立ち上がり長い廊下を足早に歩いていき、ピザを受け取ってまた戻ってきた。
ムワッとした肉々しい香りに包まれながら、クマの咀嚼音だけが鳴り響く。