第2章 そろそろ野獣の本性出しても……
「いやいやそんな事はちょっとしか思ってないよ」
「ちょっと?そんな軽薄な方だとは思いませんでした。
悪いけどお家に行く事はできかねます」
「もしかして気分害しちゃった?」
やばいなぁ、すごい真面目な子みたいだ。
めちゃめちゃそそるんだけど。
「五条様二人きりで飲みに行きましょうよぉ」
「だーめ」
「そんなこと言って売れっ子女優の私のこと気にいってくれてるんでしょう?
五条様は一度遊んだ女のことはふつうはニ度は会ってくれないって聞いてますよ」
「まさか、とにかくだめだよ。
今日は絶対外せない用事があるんだ」
本当はまだ少し時間に余裕あるんだけどね。
香水の匂いでも移ったらちゃんに余計な心配させちゃうし必要のない危険は犯さない。
「もうー、私が出てる『錆びない青。』の映画の試写会のチケットあげるからお願い聞いてよー」
俺は女のばっくり開いたワンピースの胸の谷間を見つめながら考える。
錆びない青。ってちゃんが見たいって言ってたんだよなぁ。
「ちょっとだけだよ。
飲むだけだからね」
「まぁつれないのね。
仕方ないわね。いじわる」
やばい、あれから女は酔いつぶれてしまって、ほっとくわけにもいかないから解放してるうちにすっかり遅くなっちまった。
というかもう夜が明けそうなんだが、これもすっぽかしじゃね。
「ちゃん!遅れた!」
大急ぎで家に帰るとキッチンにご飯らしきものはぱっと見、見当たらない。
だがふわふわのソファーですやすや眠るを見つけて俺はほっとする。
まだ眠りが浅いな。
直前まで待っててくれたのか……。
だけどご飯は作ってないみたいだった。
来てくれただけですごく嬉しい。
正直来てくれないんじゃないかって不安にもなってたから。
むしろご飯作ってくれてなくてよかったくらいだ。
あまり傷つけずに済んだだろうから。
そう思いながらキッチンのゴミ箱が膨らんでいるのが視界に入り俺は戦慄した。
いちごらしきものがのぞいている。
そこにはご飯だけじゃなく手作りらしいケーキまで捨てられていたのだ。
「すまんちゃん!」
「むにゃむにゃ、五条さん……?」
「起こしてしまったか、すまない!
捨てられたケーキは責任持って食べるから、許してくれ!」
はぷくっとむくれた。