Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第12章 それぞれの想い3(智)
智side
翔禾姫を見つめていた。
雅若の目線の高さに身を屈め、雅若に微笑みながら話掛けたり、頬を摘まんでみたり。撫でて差し上げたりしておられる。
まるで美しき絵を見ている様な……
多少、趣味程度に絵を描く私は、翔禾姫と雅若を描いてみたいと思いつつ……なぜだか、冷静ではいられなくて……
その時だった。フイに雅若が同じ様にお二方を見つめていた。和也様と私の方に視線を送って来られたかと思うと。
ニヤっ。と右口角を軽くお上げになられて……
(……ホー……やりますね? 雅若)
思わず(内心は動揺しているのに)余裕ぶって。右口角上げて微笑み返してしまったのだけど……隣におられる和也様の ご様子を横目に伺うと。やはり同じ様に左口角を上げられ、微笑まれている。
そして、雅若は、私達に見せつける様に翔禾姫に抱き付かれたりと、 思いっきり甘えられていて。
お小さいのに……
「ふふ……中々……侮れませんね。智殿」
「本当に……侮れませんね。和也様」
などと同意しつつ。
私にとっては、貴方様も侮れないと思っているのですがね……
そんな事を考えつつ。視界の隅では、潤様となずな殿がお二人の世界を醸し出しておられて。
何かが起きる予感に、私は、心がザワつくのを 感じていたんだ……